2005,03,02 佐野元春が語る80年代SINGLEライナーノーツより「ハッピーマン」は、その名前の通りにハッピーな曲にしたかった。コーラスのところでは歌手じゃない人も含めて、僕の友だちをたくさん集めて、レコーディングしました。あの曲でイメージしたのは、これから台頭してくる新しい価値観を持ったヤングジェネレーションが、敵の陣地に向かって行くための景気づけの歌ということだった。だから大勢の仲間を集めて、うまく歌わなくて良いから叫んでくれ、という調子でやりました。ハッピーというタイトルもそうですけど、この曲はやっぱり言葉が違うんだと思う。これまでの日本のロックンロールだと、よく出てくるのがお前の口紅とか俺のジャックナイフというようないわゆるグリーサー、頭にグリースを塗った革ジャンの若者が使うような言葉でした。でも、この曲は違う。“アスピリン片手のジェットマシーン”。こんなラインのロックンロールは聞いたことがなかったと思うし、だからこそ歌いたかった。後にヒップホップのアーテイストがこのラインをサンプリングしてラップにして歌ったりしてましたけど、そういうことを期待して詩を書いていた気がします。アスピリンて何だ、イタリアンシャツってどういうんだ。出てくる言葉は僕には当たり前だったけれど、聴いてくれていたのは僕より少し若かったから、ちょっと年上の兄貴が知らないことを歌ってるって、興味津々だったんだと思う。(1982年8月25日発売。少なくとも”ハッピー”という言葉をこんな風に陽気にそれこそハッピーに歌ったポップスは70年代にはなかっただろう。ファッション的なオシャレさと大人達のインチキに向けたシニカルな視線。世の中の不正や矛盾を”インチキ”という平易な言葉で軽やかに喝破したのも彼が最初ではないか。80年代を象徴するポップロックがこれだ。)
FC2Ad